未来において必要とされる能力と資質!  

我々の未来の環境はさまざまですが、AI(ITC含む)環境とグローバル環境に集約されます。

総務省はAI環境に必要な能力と資質について、人間的資質、企画発想力や創造性、対人間能力、業務遂行能力、基礎的素養に区分して、以下の能力や資質をあげています。

◇人間的資質:チャレンジ精神、主体性、行動力、洞察力

◇企画発想力や創造性 ◇対人間能力:コミュニケーション能力、コーチングなど

◇業務遂行能力:情報収集力、課題解決力、論理的思考力など

◇基礎的素養:語学力、理解力、表現力など  

他方、文部科学省はグローバル人材の定義に関して、要素Ⅰ、要素Ⅱ、要素Ⅲに区分して、以下の能力や資質をあげています。

◇要素Ⅰ:語学力、コミュニケーション能力

◇要素Ⅱ:主体性、積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感

◇要素Ⅲ:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー

また、文部科学省は、以上のほか、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等が重要であるとしています。  

筆者は20数年前、陸上自衛隊調査学校(現在の情報学校)の新米の情報教官でした。当時、1992年の自衛隊カンボジア派遣などを契機に、“情報化”と“国際化”に対応する人材育成が喫緊の課題として認識されていたように記憶しています。

そうしたなか、陸上自衛隊の情報要員に対して「養成すべき資質や能力は何か?」というテーマが“侃侃諤々”と論議されていました。

筆者は現職時、教官業務の一環として相当数の「教育課目表(レッスンプラン)」を作成してきました。 これは簡略化すれば、上級司令部が示す教育基準、学校長の教育指針、前年度の成果、内外情勢及び教育環境などを踏まえ、基本的に修得すべき能力及び資質と、内外情勢の変化を対応して修得すべき能力及び資質について、それらの具体的な内容やバランス(配当時間)を明確にします。

次に、それらの能力及び資質を明らかにしたうえで、それらを達成するための課目及び課目内容を案出して、教育基準で示された精神教育、知識教育、実習、研修などの大項目区分に従って、課目と課目内容を割り当てていくことになります。

この作成過程において、もっとも苦心するのが、養成すべき能力及び資質を案出することですが、20年前の「教育課目標」の作成過程において、上述の総務省や文科省が列挙する項目はほぼ網羅されていたように記憶しています。

当時のAI環境、グローバル環境に比べて、現在は相当に進化しています。そ して、「今後10~20年程度で米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化さ れるリスクが高い(英オックスフォード大学でAIなどの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授)」、「2045年にAIが人間の能力を超えるシンギュラリティが訪れる(AI分野における世界的権威であるレイ・カーツワイル、ソフトバンク会長兼社長の孫正義氏など)」などの予測もあります。

また、グローバル化においては「ヒト」「モノ」「カネ」のボーダレスな流通が恒常化され、ITC発展とあいまって外国人労働者の流入、キャッシュレス社会、消費社会からシェア社会といった生活環境の変化がすでに起きいています。これが未来はさらに急速に進展すると予測されます。

このような環境変化に関する予測を受けて、多くの人が「10年先はわからない」、「私たちの仕事がAIに奪われる」といった不安感が次第に蔓延しつつあります。また「どのようなスキルを身に着けるべきか」などの暗中模索の思考がおこなれています。

たしかに、今後、これまでの職業がAIにとって代わられたりするといった状況が起こることは間違いないでしょう。つまり、ドライバーが自動運転技術にとって代わられた、精密技工や外国語の翻訳などがAIにとって代わられることになるでしょう。

「時代は流れる」「環境は変化する」、これは自然の法則です。そして結局のところ、先行きは 不透明であり、未来をずばっと言い当てることなど、神様でもなければ不可能です。

だから、「万物は流転する」といった自然の法則を受け入れ、そのうえで未来のシナリオを複数想定して、 基本的に必要とされる識能と資質をベースに、 自らが修得すべき識能と資質に磨きを掛けることが求められます。

ただし、筆者は上述の経験から、基本的に必要とされる能力・資質はいつの時代においても大きく異なるものではないと考えています。もちろん、それらの能力及び資質のうち、どれがより重視されるか、どの程度の語学レベルが求められるのかといった点には変化はあるでしょう。

環境の変化に柔軟に対応する(環境は変化するという事実を受け入れて、周囲の意見を聞いて自分の出来ることをやる)、リスクを恐れずに主体的・積極的に物事に取り組む、多様な仲間達と協調して困難を克服する、これらの基本的な能力及び資質があれば、「どのような環境であれ、世界であれ、領域であれ、やっていける」のではないでしょうか?

投稿者:

atsumori

元防衛省情報分析官。1960年広島県生まれ。退職後、ほそぼそとインテリジェンス・リテラシーの普及活動を開始。著書、『情報戦と女性スパイ』『中国戦略“悪”の教科書』、『中国が仕掛けるインテリジェンス戦争』、『戦略的インテリジェンス入門』など。その他、講演、雑誌投稿など。

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