バイデン新大統領就任に思う

米民主党のジョー・バイデン新大統領(78)が1月20日正午前(日本時間21日午前2時前)、第46代大統領に正式に就任しました。78歳は史上最高齢での就任です。副大統領には女性として初めて黒人のカマラ・ハリス氏(56)が就任しました。民主党は4年ぶりの政権返り咲きとなりました。

トランプ前大統領は、すでに国民に対してお別れのビデオメッセージを発表し、この中で4年間を振り返り、「最高の名誉と誇りだった」としたうえで「今週、新たな政権が発足する。アメリカの安全と繁栄の継続が成功するよう願っている。幸運とご多幸を祈る」と述べ、エールを送りました。

また、バイデン大統領の就任式を欠席しました。ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地で開かれた退任式典で「さようなら。また何らかの形で戻ってくる。近いうちにまた会いましょう」と述べた。トランプ氏の支持者の間には、再登板を期待する声があり、退任式典に集まった支持者は同氏に声援を送っていたといいます。

さて、バイデン新政権の対外政策がわが国にどのような影響を持たらすかが注目されますが、ここで一つ重要なことを述べておきます。

政治家が歴史を変えることよりも、歴史の転換期に異端あるいは非凡な政治家は現れるということです。一部の人は偉大な個人すなわち非凡な指導者が歴史を作ると考えています。これは熱狂的な支持者が多い保守派に多いとされます。

別の一部の人々は、指導者は時代背景の産物であって、つまり、そこには歴史を転換している政治、経済、社会の構造があると考えます。これは改革派の思想です。

もちろん、両方の見方には一理ありますが、やはり、構造的なものが異端、偉大な政治家を生み、かかる政治家のポピュラリズムが世の中はさらに転換していくのだと考えます。

1930年代、反ユダヤを掲げ、ホローコストという残虐性を世界にさらし、第二次世界大戦を引き起こした要因には、異端なヒトラーが影響したことは間違いありません。

しかし、第一次世界大戦後のドイツに対する過酷な戦後賠償、貧富の格差、屈辱感と臥薪嘗胆、世界的不況による猛烈なインフレ、復員兵による民兵組織の樹立、これらの状況がヒットラーを生んだ訳です。

そして、ヒトラーに出現がチャーチルという偉大な政治家を生みました。もし、第一次世界大戦後の連合国による対ドイツ政策がもう少し穏健であったならば、はたしてヒトラーやチャーチルは歴史上の政治家になっていたのか?と考えるのです。

トランプはヒトラーでもチャーチルでもありませんが、トランプを生んだのは、英国のCA(ケンブリッジ・アナリティカ)でもフェース・ブックでもなく、米国の一部エリート層に見捨てられた白人労働者層の〝怒り〟です。それを生んだのが、一部エリート層を生み出し、貧富の格差を決定づけたデジタル・テクノロジーシの進歩と、経済グローバリズムなどによって流入した移民や安価な中国製品です。

ようするに、米国の社会的・経済的・政治的な要因がトランプ政権を誕生させたのであって、バイデン新政権が白人労働者層とどのように向かい合うかが、米国のあらゆる政策の方向性を占う鍵になると思います。

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