「医食同源」から「和製漢語」を考えた

昨晩、急に腸の具合が悪くなり、冷汗と下痢、激痛に見舞われました。最大の苦しみは、1時間ほどで過ぎましたが、いまだ腸と腰に鈍痛が少し残っています。

昨年も正月明けに同じような症状になったような覚えがあります。〝自己診断〟ですが、正月はずっと食べたり、飲んだり、寝たりで、そこに昨日(1月4日)は本年の初の外食で中華料理店で四川料理を食べたことが原因かもしれません。それに加えて部屋の暖房の暖かさを過信して、腹を出して寝たことが原因かなと思います。

ただし、自己判断の因果関係は誤謬が多いので、しばらく自重し、様子を見ようと思います。

さて、こんな症状になって、思い起こした四字熟語があります。「医食同源」です。これは、病気の治療や日常の食事も、ともに健康を保持には欠くことができないもので、源は同じだという考えです。

私は、かつてこの言葉は、中国から輸入されたものと思っていました。しかし、中国の「薬食同源」(体によい食材を日常的に食べていれば、特に薬など必要としないという考え)をもとに日本人の方が1972年に造った造語のようです。現在は、中国でも医食同源が使われています。

統計によれば、中国で今日使用されている社会・人文・科学方面の名詞・用語の実に70%が日本から輸入したものようです。その経緯を調べれば、主として明治維新以後、日本は近代化のため、西洋の文化、制度、歴史を勉強してきましたが、その際、日本にはない概念である西洋の語句を「和製漢語」として翻訳しました。

当時、中国の知識人は自国の近代化のため日本に留学していました。彼らは明治維新後の日本に学び、同時に 日本を通じて西洋文明を祖国に紹介しようとしたのです。梁啓超などが「和製漢語」を自国に持ち帰り、それが中国語の中に根を下ろしたようです。

本ブログの「インテリジェンス関連用語」(カテゴリー)の中でも解説していますが、情報も明治期になって、陸軍がフランスの軍事教範を翻訳する際、仏語の「renseignement」 (案内、情報)の訳語として「敵情を報知する」意味で情報を用いたのが最初です。これも現在、中国に逆輸入され軍事用語として用いられています。

他方は分析はどうでしょうか。分析に相当する英語はanalysisです。同語の語源は「~を(ana-)ばらばらに分解して(luo)調べること(-sis)」です。日本語の分析は、「刀で切り分ける、木で斧を切る」という二つの言葉からなると言われます。だから、日本人による「和製漢語」だと言えそうです。

しかし、漢書には『全訳(第二版)漢辞海/三省堂』によれば、漢書ですでに「分析(ブンセキ)」は「分ける。区別する。」(漢書・孔安国伝)の意味で用いたようです。なかなか、語句の語源も複雑です。

さて、民主・科学・政治・経済・自由・法律・哲学・美学・人権といった語彙はすべて日本から中国に渡ったようです。つまり、中国は欧米の制度、文化、などの修学は日本語を媒介しています。

わが国は近代化のために西欧から主導的に本質を学ぼうとしたが、他方の中国は日本の手を借りた。そこには知的エネルギーの発揚に大きな差があると思えます。また、この相違が両国の人権、民主、法律などへの解釈の違いの根底のような気がします。香港問題もこのような視点から考えることが重要であると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA