近日、講談社現代新書から拙著が発売(2)

前回の続きです。本日は書影が完成したので、その紹介をします。

ここに紹介しますのは未来予測のための「個人モデル」の思考サイクルです。オリジナルですので、もちろん、どの書籍にも載っていません。

組織としてのインテリジェンスサイクルはCIAモデルなどがすでに提示されています。それは、1-計画・指示、2-収集、3-処理、4-分析・作成、5-配布の順となります。

つまり、政策決定者などの使用者から1の計画・指示が出され、収集部隊などが情報の収集を開始します。

このインテリジェン・サイクルを個人モデルにそのまま置き換えると、上級者から1のか「計画・指示」に替る「何か書いてみない」との漠然としたオーダーが出て、いきなりの2の情報を集めようとします。

これでは、効率的な情報収集とはいえませんし、氾濫している情報の渦に巻き込まれて身動きができなくなります。さらにはガサネタに踊らされるかもしれません。

そこで必要になるのが①の「問い(問題)の設定」なのです。実は、これが私が以前所属していた組織の若手分析官はできていませんでした。だからプロダクトがなかなか書けないのです。これは上司の指導上の問題でもあります。

この点の重要性は前著『武器になる情報分析力』でも強調しましたが、今回はより身近なテーマで、 ケーススタディでにより①についての要領を解説しています。

①の「問いの設定」の次には、②枠組みの設定が重要となります。これは設計図の作成といってもよいでしょう。これについては、前著ではドライバーと表現していましたが、日本語として馴染まないということもあり、「枠組み」としました。

①と②により、必要な情報の枠をあらかじめ設定して情報を収集する、これが最初のポイントです。

③については、本著は未来予測のための技法を焦点にしていますので、説明は割愛しています。

④については、現状分析と未来予測の技法について紹介しています。

⑤は「戦略判断」としましたが、組織モデルでは5-配布です。情報組織は政策の領域まで立ち入らない、すなわち政策を誘導しないことが原則です。専門用語で、これを「インテリジェンスの政治化」を回避する、といいます。

しかし、会社の企業戦略や個人の発展戦略では自分で戦略判断をしなければなりません。未来予測は戦略判断のためにあります。ということは、実は、この⑤から未来予測のサイクルを開始するといってもよいのです。

ようするに、個人が未来に向かって何かの判断をする場合、今現在の立ち位置を明確にして個人モデルの循環サイクルを常に回せ、といことです。

この個人モデルに連接する形で、必要な9つの技法を特定し、図示しました。 次回は、それを紹介したいと思います。

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