『戦争プロバガンダ10の法則』とは
『戦争プロバガンタ゛10の法則』は、ブリュセル自由大学・歴史学者のアンヌ・モレリの著作です。
彼女は、1928年ロンドンで出版された、アンサー・ポンソンビーの衝撃的な著書『戦時の嘘』などを参考に、この本を書きました。ポンソンビーは、第一次世界大戦時の英国労働党議員で、イギリスの参戦に反対しました。平和主義者の彼は、「ディリー・メール」紙の社主・ノースクリフ卿の指揮のもとで行われた、第一次世界大戦におけるプロパガンダを分析し、その様相を10項目の法則に集約しました。
モレリは、この10の法則に照らし、ポンソンビーの分析を引用しつつ、第一次世界大戦から現代までの戦争におけるプロパガンダの手口を明らかにしています。
現在、日韓対立が深刻化しつつあり、なかなか着地点がみえません。韓国の言い分は『戦争のプロパガンダ10の法則』さながらです。この「10の法則」に基づき、ざっとみてみましょう。
()は10の法則です。その下記は各種報道から韓国が発言しているようなことを筆者が作文したものであり、実際に韓国側がこれを発言したわけではありません。韓国側のプロパガンダを、「10の法則」で分析することにより、韓国側の発言上の思惑や、今後に仕掛けてくる舌戦の様相を分析、推察しようとするものです。
(1)我々は戦争したくない
我々は日本と対立したくないのだ。先の火器官制レーダー照射事件は“根も葉もない”日本側の捏造であった。徴用工問題は韓国の大多数の人々の情緒に絡む問題であり、司法の判断だ。韓国政府の問題ではないのだ。我々政府は、これまで築きあげた日韓関係を重視して、「より前向きの関係を作ろう」と言っているのだ。
(2)しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ
今回、日本が徴用工問題の復讐という卑劣な目的で、一方的に半導体関連物資の輸出規制を行なってきた。これは韓国に対する〝銃声なき経済戦争〟であり、安定した日韓関係を希求するわが国への重大な挑戦だ。
(3)敵の指導者は悪魔のような人間だ
金正恩委員長とトランプ大統領との歴史的な会談をお膳立てしたわが国への嫉妬心から「禁輸措置」に出た安倍はなんと偏狭な指導者であろうか。帝国主義者の安倍は、外交問題を国内政治に理由している。極右勢力結集のためのきっかけが欲しかったのだ。憲法改正して、再びアジア侵略の歴史を繰り返し、アジアの人々を苦しめるであろう。
(4)われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う
我々が守ろうとしているのは自国の利益といった狭小なものではない。自由貿易体制の秩序破壊という日本の挑戦に対して、わが国は世界の代表として断固として戦うというものである。
(5)われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが、敵はわざと残虐行為を行なっている
戦略物資の不正輸出はたしかにある。ただし、わが国は不正輸出を適切に摘発し、管理しているではないか。日本から輸入したフッ化水素が北朝鮮に流失した証拠はないし、ましてや意図的に流失するなどでっちあげも甚だしい。
日本こそ意図的に「韓国が、国連の対北朝鮮制裁に違反した」とのでっちあげにより、わが国の国際的立場を貶めようとしている。なんなら、事実関係を確認するために、国際機関による調査をしようではないか。
(6)敵は卑劣に兵器や戦略を用いている
政治、外交の案件に対して、経済的に優位な立場を利用して制裁しようとしている。誠に卑劣な手段であって経済大国のとるべき対外政策ではない。多くの経済発展途上国は日本の今回の軽率な行動に失望している。
(7)我々の受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大
輸出規制による韓国の被害はむしろ小さいことが分かった。日本の輸出関連企業の被害の方が大きいようだ。韓国は輸入先の多角化と国産化の道を進める。結局は、日本経済に大きな被害を及ぶことを警告する。日本の輸出規制によって世界経済は大損害を被り、日本は経済的、政治的にも世界中に敵を廻すことになろう。
(8)芸術家や知識人も正義の戦いを支持している
我々の毅然とした対応を国民全員が支持している。わが国民は日本の不埒な行動に怒りを覚え、すでに「韓国も日本製の輸入を規制すべき」とか、「日本車などを買うのは辞めるべきだ」との反日世論が沸騰している。我々は、日韓両国の国民が互いに憎しみ合うことは欲していないが、その原因を意図的に作ろうとしているのは日本の方である。
(9)われわれの大義は神聖なものである
自由貿易体制を守る活動は全世界共通のものであり、わが国の主張は尊いものだ。しかるに今回の日本側の挑戦の不当性を国際政治の場で明らかにする。米国やWTOも韓国の正当性を支持するであろう。
(10)この正義に疑問を投げかける者は裏切者である。
わが国の一部保守勢力による軽率な反政府の発言や行動はただちに止めるべきだ。わが国政府の立場を不利にして、日本側を利することになることを理解せよ。わが国民は分裂している時ではない。分裂を画策する者は、国民から「親日派」「土着倭寇」と呼ばれて断罪されても仕方がない。
以上、「10の法則」で韓国側の発言および予想される発言を整理してみました。この10の法則は、相手側のブラパガンダの虚構を見破ること、およびわが国の政治宣伝、公共外交(パブリック・ディプロマシー)さらには経営戦略などにも応用できそうです。