仮説を立証および検証する
▼仮説を証拠で立証する
仮説を立てたら、次に行うのは立証です。
立証には証拠が必要です。
情報分析における証拠とは、仮説を裏づけるために用いる情報です。私は証拠を扱う際、次の点を常に確認します。
・完全な証拠は得られません。
・一つの証拠が複数の仮説を支持することがあります。
・証拠は、確実性や信頼性が異なる情報源からもたらされます。
・証拠は曖昧で不正確な場合があります。
・ある証拠は一つの結論を支持し、別の証拠は異なる結論を支持します。
私はこれらを前提として証拠を扱います。
立証では、情報の妥当性と信頼性を確認しながら、情報を組み立てます。
そのうえで、既に得ている情報やインテリジェンスと照合します。
私は、情報どうしの関係を確認し、内側のつながりと外側のつながりを明らかにします。
証拠が仮説に対して妥当であり、信頼でき、重要であると示せたとき、立証は成立します。
この過程では、証拠と仮説をつなぎながら判断します。
具体例で説明します。
ある企業について、「この企業は今後、業績が悪化する可能性が高い」という仮説を立てたとします。
この場合、私は次のような証拠を集めます。
・主要製品の売上が前年同期比で減少している。
・主力市場で競合企業がシェアを拡大している。
・経営陣が短期間で交代している。
・研究開発費が減少している。
さらに、過去の事例から、業績悪化の前には次のような兆候が見られます。
・在庫の増加
・利益率の低下
・人員削減や拠点統合
・資金調達の増加
私はこれらの証拠を積み上げ、仮説の妥当性を判断します。
▼仮説を因果関係で検証する
仮説を立てた後、私は複数の仮説の中で、どの仮説が最も可能性が高いかを判断します。
これを仮説の検証と呼びます。
検証では、因果関係を確認します。
たとえば、「企業の業績が悪化した」という結果があり、「新規参入企業が市場に増えた」とします。
私はこの関係を、原因と結果の可能性として扱います。
この場合、「なぜ業績が悪化したのか」という問いに対して、「競争激化が原因である」という仮説を立てます。
そのうえで、市場シェアの変化や価格競争の激化などを証拠として、因果関係を確認します。
一般に、「Aが起きるとBが起きる」という関係を因果関係と呼びます。
Aが増えればBも増える関係もあれば、Aが増えればBが減る関係もあります。
一方、「AとBが同時に変化する」だけでは因果関係とは言えません。
これは相関関係です。
相関関係と因果関係は混同されやすいものです。
たとえば、広告費が増えると売上が増える場合があります。
しかし、売上の増加が広告の効果とは限りません。市場全体の需要増加という別の要因が影響している可能性があります。
私は、相関関係から因果関係を見極める際、次の手順で進めます。
① 関係がありそうな事象を広く列挙する。
② 原因が先、結果が後という時間の順序を確認する。
③ 別の原因が存在しないかを確認する。
さらに、私は次の4つの関係を検討します。
・AがBを引き起こした。
・BがAを引き起こした。
・第三の要因CがAとBを生んだ。
・AとBの関係は偶然である。
とくに、見かけだけの関係には注意が必要です。
たとえば、在宅勤務の増加とオンラインサービスの利用増加は同時に起きました。
しかし、両者の背後には「感染症の拡大」という共通の要因があります。
私は、こうした関係を見誤らないようにします。
因果関係を見つけられない原因の一つは、思い込みです。
原因は意外な場所にあります。
私は分析を行う際、目の前の情報だけで判断せず、別の可能性を必ず検討します。
それが、仮説を正しく評価するために必要な姿勢です。
▼今回はここまで
今回は、仮説をどのように証拠で立証し、さらに因果関係を用いて検証するかについて解説しました。
仮説は立てるだけでは意味がありません。証拠によって裏づけ、複数の可能性の中で位置づけてはじめて分析として機能します。
