■問いの次に来る「枠組み」とは何か
昨年のニュースレターでは、「問い」を扱ってきました。問いは、情報収集の前段階に置かれますが、実は分析そのものでもあります。
問いを立てた後、インテリジェンスは次の工程へ進みます。
問いの設定
→ 枠組みの設定
→ 情報の収集
→ 情報の分析とインテリジェンスの作成
→ インテリジェンスの提供
今回は、このうち枠組みを扱います。
■枠組みはフレームワークではない
ここで言う枠組みは、3C(顧客、競合、自社)やPEST(政治、経済、社会、技術)といった、既存の分析フレームワークそのものではありません。
フレームワークは、問いに答えるために、「何を見るべきか」を広く確認し、思考の抜けや偏りを防ぐために使います。
一方、枠組みは、分析や判断の対象を、どこまでに限定するかを決めるものです。
枠組みは、投網のようなものだと考えると分かりやすいでしょう。網を投げた範囲の魚は取れますが、網の外にいる魚は、最初から取れません。
同じように、枠組みを定めると、その中にある情報は集めますが、枠組みの外にある情報は、意図的に排除します。
枠組みの設定とは、「何を見るか」を決めると同時に、「何を見ないか」を決める作業です。
■フレームワークを使うと、枠組みが見えてくる
枠組みは、最初から与えられるものではありません。問いを立て、フレームワークを使って考える中で浮かび上がってきます。
たとえば、次の問いを考えてみます。
この問いに対して、3Cを使えば、自社・競合・顧客という三つの視点から、
さまざまな要素が挙がります。
自社を見れば、宣伝投下や大量生産といった要素が出てきます。
競合を見れば、他にない商品、価格の安さといった点が浮かびます。
顧客を見れば、安価であること、便利さ、形状の使いやすさといった評価が見えてきます。
この段階では、論点は散らばっています。むしろ、この「散らばり」を一度つくることが重要です。
■フレームワークを横断して残るものが枠組みになる
ここで重要なのは、出てきた要素をそのまま並べ続けることではありません。
判断に使うためには、それらを整理し直す必要があります。そこで要素を整理すると、いくつかの共通した方向性が見えてきます。
価格に関わる話。商品そのものの特徴に関わる話。生産や供給の条件に関わる話。
この時点で、自社・競合・顧客という区分は消えています。
3Cというフレームワークを使って問いを分解した結果、フレームワークを横断して残った論点が、枠組みになります。
■枠組みはいくつかのフレームワークを使って規定する
既存の分析フレームワークには、3CやPESTのほか、PESTに法的規制(L)や環境(E)を加えたPESTLE、さらにDIME(外交・情報・軍事・経済)など、さまざまなものがあります。
これらは、すでに述べたとおり、問いを取り巻く周辺情報を網羅的に確認するための道具です。そのため、フレームワークをそのまま用いると、扱う論点は必然的に多くなります。
それぞれのフレームワークは、複数のサブカテゴリーで構成されています。
たとえば政治であれば、国際政治、法規制、法改正、行政環境が含まれます。
経済であれば、経済システム、景気、賃金動向、株価、為替、金利、消費動向、雇用情勢、経済成長率などが並びます。
ここで重要なのは、これらをすべて同じ重さで扱ったままでは、判断に使えないという点です。
論点が多すぎると、どこから情報を集め、どこに分析の力点を置くのかが定まりません。
そこで、フレームワークを使って出てきた論点を、判断に使うために整理し直す必要があります。
具体的には、抽象度を一段上げ、内容が近いものを同類項としてまとめ、分析の焦点となる論点だけに絞り込みます。
このようにして定められるのが、枠組みです。
■今回はここまで
今回は、問いの次に来る「枠組み」について整理しました。
次回は、影響要因、支配要因、ドライバーとは何か、さらに枠組みや影響要因の数をどう考えるかを扱います。
