―― 10年満期のオーストラリアドルを前に
10月の為替相場は、政治と世界情勢の波に大きく揺れました。
高市早苗氏が自民党総裁に選ばれ、豪ドル円は久しぶりに100円を突破しました。
市場は「日本の政治が動いた」と感じ、期待が広がりました。
けれども祝儀相場は長くは続かず、公明党が連立離脱を示唆したことで、高市政権の前途に早くも不安が生まれました。
一方で、米中関係も緊張をはらんでいます。
トランプ政権は11月1日からの関税強化を打ち出し、月末に予定されている韓国での米中首脳会談は「開催が危うい」と報じられました。
そこへ追い打ちをかけたのが、10月16日に発表されたオーストラリアのCPI(消費者物価指数)です。
インフレ鈍化が明らかになり、利上げ観測が後退しました。
豪ドルは売られ、95円台に落ち込みました。
それでも政治は止まりませんでした。
高市総裁と維新の吉村代表が「閣外協力」で歩み寄り、18日から19日にかけて高市政権の成立がほぼ確実となりました。
市場はこのニュースを織り込み、為替は97円台を回復しました。
ただ、織り込みが進んでも、最終的な確定はまだ先です。
いよいよ来週、10月20日からの最終週が始まります。
高市新内閣が正式に発足し、最初の政策方針が示されます。
同時に、米中首脳会談が「開催」されるのか「延期」になるのか、その判断が下される見通しです。
この決定ひとつで、相場の方向が変わります。
もし会談が行われれば、豪ドル円は98円から99円へ。
逆に流れれば、95円台に戻るかもしれません。
私にとって、この週は特別な意味があります。
27日は、10年満期を迎えるオーストラリアドルの確定日です。
そして前日の26日は、私の誕生日でもあります。
この2週間、為替は激しく上下し、まるで節目を祝うように波を描きました。
高市政権の“花火”がもう一度上がるのか。
米中が歩み寄りを見せるのか。
その答えは、いよいよ来週に出ます。
そして、それが私にとって大きな“プレゼント”になるのかどうか――
その結果がわかるのが、10月27日です。
10年前にこの通貨を選んだとき、世界は今とはまったく違っていました。
為替は数字の動きですが、そこには人の思惑と国の力が映ります。
私はこの10年の終わりに、その数字を通して時代を見ている気がします。
27日朝のレートがいくつであっても、この週はきっと忘れられないものになるでしょう。
少し緊張しながら、そして少し楽しみながら、為替の週を見届けたいと思います。
