熊と高市新政権

熊の被害が全国で広がっている。これまで、熊を射殺すると「かわいそうだ」「共存が大切だ」と訴える声があった。中には、熊を殺傷処分した行政に苦情の電話をかける人もいた。しかし、熊が次々と人間の生活圏に入り、死傷者が出るようになると、ようやく社会が事態の深刻さを理解し始めたように見える。秋田県知事が自衛隊の出動を視野に入れた発言をしたことも、危機感の表れだ。ただし、自衛隊には熊の射殺権限はないという。

同じ時期に、高市新政権は積極外交、日米同盟の強化、防衛費の増額、国家情報局の設置検討など、国の安全保障政策を前面に打ち出している。これに対して、「力による抑止は危うい」と批判する声もある。しかし、熊の問題と照らしてみれば、状況は似ている。
一方的に人間の生活圏に踏み込む熊に対して、「共存」や「棲み分け」を唱えるだけでは、人を守れない。同じように、日本の領域に踏み込む勢力に対して、話し合いだけで抑止が成立するとは限らない。防衛力の整備や、場合によっては示威的な行動も必要だろう。熊も、国際秩序を乱す国も、柔らかな言葉だけでは行動を止めない。現実には、力の裏づけを伴った対応がなければ、安全も共存も成り立たないのではないか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA