台湾訪問で考えたこと(2025年9月14日作成)

■台湾訪問

先週、3泊4日で台湾を訪れました。昨年4月以来の再訪です。

「2027年危機説」が叫ばれて久しいものの、現地の市民生活は驚くほど平穏で、空港には大陸からの旅行者も目立ちます。松山空港と上海虹橋空港を結ぶ直行便も活発に運航され、台湾社会の落ち着きを象徴しているようでした。

ただ、台湾の物価の高さには驚かされました。日本よりも高く感じられたのは、物価の問題というよりも円安の影響かもしれません。

■台湾は半導体のメッカ

今回の訪問では、新竹サイエンスパークと台北郊外での半導体展示会に参加し、日本の半導体企業で常駐されている方に案内していただきました。

台湾は世界の半導体供給を担う存在です。国家として半導体産業を育成し、博士課程を修了した技術者の年収は3,000万円に達するとされます。小学校からデジタル教育を徹底し、子どもたちの将来の夢も「技術者」が主流。すでに日本は台湾や韓国に後れを取っています。

私はこれまで、国家戦略とは「国の資源(能力)×政府の意志力(意図)」と規定していましたが、そこに教育を加える必要があると痛感しました。国家意思に基づく教育こそが長期戦略を支える。教育が伴わなければ、戦略の持続性はない――今回の最大の学びでした。

■半導体シールドへの疑念

中国にとって台湾の半導体は垂涎の的であり、それが軍事侵攻をためらわせる要因ともなっています。いわゆる「半導体シールド」です。TSMC新竹工場では米国の要請に応じて海外生産拠点を拡大しつつも、中国との取引も継続しています。

しかし、ここ数年「半導体シールド」に対する疑念も語られるようになっています。中国も少子高齢化に向かう一方で、半導体の製造力を急速に高めています。「今しかない」と判断するか、あるいは「台湾の半導体が死活的ではない」と見なすなら、中国は強引に台湾へ侵攻する可能性も否定できません。

■中国による「釜底抽薪」

米中対立の本質は、いまや「半導体戦争」です。

アメリカは台湾・日本・韓国・欧州に輸出規制を迫り、中国は先端半導体に不可欠なレアメタルの輸出規制で対抗しています。これは、中国兵法三十六計の「釜底抽薪」――釜の下から薪を抜き、敵の力を根本から奪う策に通じます。

表面上は安定し、技術大国の道を歩む台湾ですが、対中脅威は現実です。新竹のサイエンスパークでは「もし侵攻があれば施設を爆破する」といった物騒な噂も流れており、台湾社会に根強い危機意識が存在することもうかがえます。

■『兵法三十六計で読み解く中国の軍事戦略』まもなく出版

拙著『兵法三十六計で読み解く中国の軍事戦略』は、9月27日に刊行予定です。発刊部数は限られます。兵法三十六計の思考法を通じて、中国のしたたかな戦略を描いた一冊となっています。「釜底抽薪」では、中国のエコノミックステェイトクラフトと、米中半導体戦争を描いてます。各計略にちなんだ現実をあからさまに描いています。ぜひ、この機会にご一読ください。

あわせて、既刊の『15歳からのインテリジェンス入門』も、ブロガーさんのご紹介などをきっかけに認知が広まり、アマゾンランキングも上昇しています。こちらも手に取っていただければ幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA