インテリジェンス思考術(第13回)

影響要因とは何か

前回は、「枠組みとは何か」を説明しました。今回は、その枠組みの中から、どのように影響要因を抽出するのかを見ていきます。

改めて、次の問いを考えてみましょう。

問い:
あの商品は、なぜ売れているのか。

この問いに対して、いきなり影響要因を並べるのではなく、まず分析の範囲、すなわち枠組みを定めます。

たとえば、3CやPESTといったフレームワークを使うと、次のような枠組みが考えられます。

  • 価格に関する枠組み
  • 商品特性に関する枠組み
  • 生産・供給に関する枠組み
  • 購買者に関する枠組み
  • 原材料や調達条件に関する枠組み

これらは、「何を見るか」を決めるための区切りです。この段階では、まだ結論を出しません。

次に、それぞれの枠組みの中から、実際に売れ行きに影響を与えている要素を取り出します。

たとえば、

  • 価格の枠組みからは
    → 価格
  • 商品特性の枠組みからは
    → 商品形状、機能構成
  • 生産・供給の枠組みからは
    → 生産規模、販売チャネル

といった影響要因が抽出されます。

このように、枠組みで分析の範囲を定め、その中から影響要因という焦点を絞り込むことで、分析は初めて整理された形になります。

枠組みの中には、状況に影響を与えている要素がいくつも含まれます。現状分析では、これらを影響要因と呼びます。枠組みが分析の範囲を定める「箱」だとすれば、影響要因は、その中に含まれる個々の要素です。

  1. 価格
  2. 商品形状
  3. 機能構成
  4. 生産規模
  5. 販売チャネル

これらはいずれも、判断や評価を含まない中立な要素です。ここで言う判断とは「低価格」、「高価格」といった評価語を指します。影響要因は未来予測ではドライバーとなる可能性があります。その段階で評価を含めると、未来の選択肢を嵌めてしまいます。

■枠組みや影響要因の数について

枠組みの数は、判断や情報収集に使うことを前提にすると、概ね5つから6つ程度が適当です。

これ以上多いと、情報収集の対象が広がりすぎ、分析の焦点がぼやけます。

逆に少なすぎると、問いに答えるために必要な視点が欠けてしまいます。

枠組みを適切な数に絞ることで、「何を集めるのか」と同時に「何を集めないのか」が明確になります。
その結果、情報収集と分析の両方を制御できるようになります。

枠組みや影響要因の数については、理論よりも実践感覚を優先すべきだと考えています。

私自身の情報分析官としての経験では、枠組みの数は5つから6つ程度が、最も扱いやすいと感じています。

これ以上多くなると、情報収集の対象が拡散し、どこに分析の力点を置くのかが分からなくなります。

同様に、各枠組みの中に含める影響要因も、無制限に列挙すべきではありません。

最初に洗い出す段階では、影響要因が多くなっても構いません。
しかし最終的には、各枠組みにつき3から5程度に絞るのが現実的です。

これは、重要でない要因を切り捨てるためではありません。判断に使える形に整理するためです。影響要因を絞り込む過程そのものが、分析の一部になります。

人は放っておくと、可能性を広げることばかりに力を使い、まとめる作業を後回しにしがちです。

枠組みや影響要因の数をあらかじめ制限するのは、思考を縛るためではなく、
思考を前に進めるための工夫だといえます。

支配要因とは何か

影響要因は、すべてが同じ重さを持つわけではありません。

その中で、現在の結果を最も強く左右しているものを、支配要因と呼びます。

この事例では、現時点での支配要因として、たとえば価格を挙げることができます。

価格は、顧客の購入判断に直結し、競合との差を一目で生み、他の要因の評価にも影響を与えています。

今回はここまで

今回は、影響要因とは何か、支配要因とは何かを整理しました。

影響要因は、未来を考える段階ではドライバーになります。
特に支配要因は、複数のシナリオを立てる際の分岐点になります。

まだ、この点を具体的に理解する必要はありません。今の段階では、言葉と位置づけを押さえておけば十分です。

次回以降は、枠組みをどのように設定するのか、影響要因の抽出や支配要因の特定を、どのような考え方と手順で行うのかを扱います。

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