我が近況(4月6日配信)

拙著『謀略とインテリジェンス』まもなく発売

拙著『謀略とインテリジェンス』が、4月10日に発売されます。

インテリジェンスには、三つの意味があります。
一つは、戦略判断や意思決定に役立つ知識です。
二つ目は、その知識を得るための情報活動そのものです。
三つ目は、それを担う組織です。

このうち情報活動には、情報を収集するだけではなく、我が方の立場を有利にするためのプロパガンダ(宣伝)や秘密工作が含まれます。
旧日本軍は、この秘密工作を「謀略」と呼んでいました。

謀略は、作戦、思想、政治、経済といった領域に分けて考えることができます。
その中でも思想の領域は、現在では「認知戦」という名称で語られることが増えています。

私は、認知戦という言葉が持つ範囲、その脅威、そして実際にどのように目的を達成するのかという点について考えるには、まず「謀略とは何か」を改めて見直す必要があると考えました。
日本軍がどのように謀略を捉えていたのか、各国がどのような謀略的行為を行ってきたのかを整理することが重要です。

この問題意識から、本書を執筆しました。
拙著『謀略とインテリジェンス』の見本ができましたので、4月3日に出版元へ受け取りに行きました。
これから、お世話になっている方々に献本しようと考えています。

前著『兵法三十六計で読み解く中国の軍事戦略』では、約10冊を献本しました。
その際、スマートレターで郵送しましたが、最初に送った5冊は問題なく届いたものの、後から送った5冊は自宅に戻ってきました。

スマートレターは、本を安く送る方法として便利ですが、内容物を含めた厚さが2cmを超えると規定違反になります。
現場の判断が入る余地はありますが、このときは認められませんでした。

前著は302頁で、本体の厚さがちょうど2cmほどありました。
そこに封筒の厚みが加わり、結果として規定を超えてしまったということです。

安全に送るのであれば、280頁程度までが目安になるでしょう。
今回の著作は230頁ですので、この点は問題ありません。

我が近況(3月30日配信)

伊豆長岡での取材旅行を終えて

私は、3月16日から20日までの5日間、伊豆長岡と修善寺に取材旅行に行きました。

私は、源頼朝の流刑地である蛭ヶ島、北条館跡(江間)、北条時政が建立した願成就院、修善寺、頼朝の子である頼家の墓、頼朝の弟範頼の墓、江川邸、韮山反射炉、三嶋大社を見学しました。

私は現地で、源頼朝の猜疑心、頼朝と八重姫や北条政子との関係、そして北条義時の情報の使い方について考えました。

頼朝は、挙兵して権力を奪う段階では情報を集め、それを判断に使いました。ところが、頼朝が政権を握ると、周囲への不信が強まりました。その結果、頼朝は自分に不利と見た者を処断し、必要な情報も入らなくなりました。頼朝は弟の源範頼や源義経を失いました。

頼朝の死後、子の源頼家は妻の一族である比企氏を重く用いました。これに対し、北条時政、政子、義時は頼家を伊豆に移し、修善寺で監視下に置きました。頼家はその地で命を落としました。

政子は、将軍である息子よりも北条家の存続を選びました。私はこの経緯を現地で確認しながら、権力を握る者が情報をどう扱うかという問題を改めて考えました。

権力と情報の関係は、私の研究の中心にあります。今回の取材では、その関係を具体的な事例として捉えることができました。

東京駅と新幹線で思ったこと

私は普段、新幹線をほとんど使いません。地方へ行くときは、大阪であっても飛行機を使います。費用と移動の負担を考えると、その方が合理的です。

今回、私は麹町の会社を訪問した後、東京駅へ移動しました。三島方面の新幹線まで時間があったため、私は八重洲ブックセンターに向かいました。しかし、その大型書店はすでに閉店していました。

私はこの変化を見て、本が情報収集の中心であった時代は薄れつつあることを実感しました。

また、東京駅には多くの外国人旅行者がいました。一方、出発前の喫煙スペースには日本人の利用者が集中していました。男性が多く、女性は少数でした。外国人の姿はほとんど見かけませんでした。

私はこの光景から、生活習慣の違いが行動として表れていることを感じました。

伊豆長岡での取材旅行(3月16日配信)

3月16日から20日までの5日間、伊豆長岡に滞在し、新しい執筆テーマの取材を行います。伊豆と言えば、源頼朝の流刑地です。頼朝は1160年、13歳のときにこの地に送られ、1180年に挙兵するまで約20年間を過ごしました。

ただし、頼朝は完全な幽閉状態に置かれていたわけではありません。監視役であった伊東氏の娘、八重との恋愛、さらに地方豪族・北条氏の娘、政子との恋愛の話も伝えられています。流人とはいえ、一定の自由があったことがうかがえます。

もっとも、私が関心を持っている人物は頼朝ではありません。北条政子の弟であり、鎌倉幕府二代執権となった北条義時です。義時は2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公として知られています。

今回の滞在では、頼朝や義時ゆかりの地を歩きながら、義時のインテリジェンスについて考えてみたいと思います。
そのため、来週のニュースレターは休刊とさせていただきます。

並木書房公式note(3月16日配信)

前回のニュースレターで、私の新著『謀略とインテリジェンス』の予約販売が始まったことをお知らせしました。その版元である並木書房が、このたび公式noteを開設しました。

並木書房は、軍事・安全保障・戦史・インテリジェンス関連の書籍を専門とする出版社です。光栄なことに、最初の記事では拙著を紹介していただきました。以下、その一部を引用します。

「なぜ日本人は『謀略』という言葉を封印したのか?──陸軍中野学校から読み解く、現代の『見えない戦争』。元・防衛省情報分析官が警告する日本の危機」

本書の三つの注目ポイント

衝撃のプロローグ「2035年・沖縄シナリオ」
 本書は「沖縄・静かなる独立の朝(2035年・架空シナリオ)」から始まります。軍事力を使わず、合法的かつ平和的な手段によって、外国の工作により領土が切り離されていく──。クリミアや香港の事例を見れば、これは単なる空想ではありません。

封印された「陸軍中野学校」の教範を読み解く
 かつて日本には、「謀略は誠なり」と教え、情報戦を実践した陸軍中野学校がありました。本書では、戦後ほとんど顧みられなくなったその体系をあらためて取り上げ、現代の認知戦を考える手がかりを示します。

米・ロ・中の対日工作を分析する
米国:冷戦期から続く対米関係はどのように形成されたのか。
ロシア:「友好」「領土」「資源」を結びつけた影響力行使。
中国:日本の判断を外側から誘導する浸透工作。

これらを知らなければ、国際ニュースや経済安全保障の動きを正しく読み解くことはできません。

そのほか、現代を生き抜くための書籍紹介も掲載されています。興味のある方はご覧ください。

【はじめまして】激動の時代を生き抜く「知の防具」を届ける。「並木書房」公式note、始動します!|並木書房 出版部

新著『謀略とインテリジェンス』の予約販売が開始(3月9日配信記事)

3月5日、私の新著『謀略とインテリジェンス』の予約販売が始まりました。発売は4月10日頃、出版社は並木書房です。

今回の本は、「謀略をやりましょう」という本ではありません。外国はどのように他国に圧力をかけ、揺さぶり、情報を取り、時には壊しにくるのか。そして、日本は国家として、また国民として、どう身を守るべきか。そこを書いた本です。

ページ数は230頁ほどです。厚すぎず、読みやすい分量だと思います。中国による高市政権への外交圧力、レアアース禁輸、米国によるベネズエラ攻撃やイラン攻撃など、最近の動きにも触れました。こうした出来事を、私は謀略という視点から見ています。

高市政権では、インテリジェンスの強化が政策の柱の一つになっています。けれども、インテリジェンスは情報を集めて分析し、政策や戦略に役立てるだけではありません。スパイによる情報収集もあります。人を使った工作もあります。サイバー空間で相手を揺さぶる動きもあります。誰がやったのかわからない形で壊しにくることもあります。そして、そうした動きから自国を守るのが防諜です。

私はこれまでインテリジェンス研究家を名乗ってきました。そうである以上、このテーマは避けて通れません。

今の時代、国家も企業も、サイバー攻撃や認知戦の中に置かれています。表に出る戦争だけを見ていても足りません。相手が水面下で何をしているのか。こちらの社会のどこが狙われているのか。そういう目で見なければ、現実は読めません。だから私は、国際情勢を謀略という視点から考えることが大切だと思っています。(了)

3月に入りました(3月2日配信記事)

3月に入りました。年度の締めくくりの月です。

この時期は、世の中も慌ただしくなりますが、私はあえて一度立ち止まる時間をつくろうと思っています。3月は気分転換も兼ねて、歴史探索の取材旅行を5日間ほど計画しました。行先は伊豆長岡です。

ここは源頼朝が流された土地です。頼朝は、ここで政治的にも軍事的にも身動きが取れない立場に置かれていました。何もできない日々のなかで、ただ機会を待っていた。そう語られることが多い人物です。

しかし、本当に彼は虎視眈々と好機を狙っていたのでしょうか。それとも、北条政子に叱咤され、動かされたのでしょうか。あるいは、流人としての閉塞感のなかで、葛藤し続けていたのかもしれません。

私は、歴史の「結果」よりも、「動けない時間」に関心があります。動けない時間に、人は何を考え、どのように自分を保つのか。そこに、意思決定の種があるように思えるのです。

1年に1回は、意図的に何もしない時間をつくる。資料を持ち込まず、予定も詰め込まず、ただ考える時間を持つ。友人はスマホとChatGPTです。問いを投げ、返ってきた言葉を手がかりに、また考える。その往復が、思考を深めてくれます。

そして4月からは新年度です。今年はこれまで以上に、「インテリジェンスとは何か」という問いに正面から向き合ってみたいと思っています。

今年は、4月に1冊、7月にも1冊、さらに年度後半にもう1冊を目標としています。

最初の本は『謀略とインテリジェンス』です。タイトルはやや仰々しく見えるかもしれません。しかし、この本は謀略を勧める本ではありません。謀略という現実を直視し、それに対抗できる国家的、国民的な力をどう養うかを考える本です。

出版日は4月10日に決まりました。今後、少しずつ内容をご紹介していきたいと思います。

私はこれまで、「インテリジェンスは戦略に活用されるものだ」という教科書的理解を軸に、講義や執筆を重ねてきました。戦略に役立てるための情報。意思決定を支える材料。それがインテリジェンスだと説明してきました。

しかし、時々立ち止まります。

本当にそれだけなのか。
そもそもインテリジェンスとは何なのか。
真実を伝えることなのか。
戦略に役立てることなのか。
そして、そのどれがどれだけ担保されているのか。

国家の現実を見ても、企業の現場を見ても、インテリジェンスが正しく使われるとは限りません。権力者は聞きたい情報を求めます。組織は都合のよい評価を好みます。そうした現実のなかで、インテリジェンスの本当の役割はどこにあるのか。

そこで、今年の問いを一つに絞りました。

「インテリジェンスとは何か」

戦略論を語る前に、まずその土台に立ち返る。
今年は、その問いを軸に進んでいこうと思っています。(了)

我が近況 2月23日配信記事

(1)桜の開花封報道で思うこと

二月というのに、昼間は二十度近くまで上がる日があります。
各地で桜が咲いたというニュースも目にしました。

もっとも、咲いているのは河津桜や寒桜のような早咲きの品種でしょう。
私たちが春の象徴として思い浮かべるソメイヨシノではありません。

それでも、「二月に桜」という響きには、どこか落ち着かないものがあります。
本来なら、梅の花を眺める時期です。
その梅も、心なしか早いように感じます。

四季がなくなった、と言う人もいます。
けれど私は、なくなったというより、境目が少しずつ曖昧になっているのだと思います。
寒い日はありますし、夏の暑さも昔とまったく別物になったわけではありません。
ただ、季節の並び方が少し変わってきた。そんな印象です。

ニュースで「桜が咲いた」と聞くとき、私はつい考えます。
それはどの桜なのか。
例年と比べて何がどれだけ違うのか。

「桜が咲いた」という言葉だけでは、まだ何も分かりません。
けれど、どの桜が、いつ、どこで咲いたのかを確かめていくと、
そこに小さな変化の輪郭が見えてきます。

季節の話は感覚的に受け止めがちです。
それでも、何が変わり、何が変わっていないのかを一つずつ見ていく。
その姿勢は、日々の仕事にも通じるものがあるように思います。

二月の空の下で咲く桜を見ながら、
そんなことを考えています。

(2)まもなく、冬季オリンピック終了

まもなくオリンピックが終わります。
日本は現在、金5、銀7、銅12のあわせて24個。北京大会の18個を上回り、過去最多とのことです。選手たちの努力に、素直に拍手を送りたい気持ちになります。

私は今回も高木美帆選手を応援していました。
500メートル、1000メートル、チームパシュートで銅メダル。パシュートは3本滑っていますから、体への負担も相当なものだったはずです。

1500メートルは6位。
彼女はこの種目の世界記録保持者で、過去二大会はいずれも銀メダルでした。「だんだんと1500メートルが走れなくなってきた」と語っていた言葉が、強く印象に残っています。

高木選手は31歳。15歳で初めてオリンピックに出場しました。
16年ものあいだ、世界のトップで滑り続けていることになります。

あらためて思うのは、その自己管理能力のすごさです。
体調を整え、体重を維持し、筋力を保ち、けがを防ぎ、心を立て直す。その一つでも崩れれば、世界の舞台では戦えません。

小平奈緒選手が32歳で金メダルを獲得したことを思い出します。年齢は一つの目安にすぎません。けれど、その年齢まで最高水準を保つことが、どれほど難しいか。

まだまだ頑張ってほしいという思いはあります。
しかしそれ以上に、15歳から五輪に立ち続けてきた時間そのものに、深い敬意を感じます。

長いあいだ、感動を与えてくれて、本当にありがとうございます。
そう伝えたい気持ちです。

衆議院選挙の感想

今年も1か月があっという間に過ぎていきました。「光陰矢の如し」とは、月日の流れが矢のように速く感じられることを言います。慌ただしく年が明け、気がつけばひと月が過ぎていました。今年は干支でいえば午年で、十干十二支では丙午です。丙午に生まれた女性は気性が激しいとされ、この年の出生率が下がった、という話がよく語られてきました。実際、前回の丙午である1966年には出生数の減少が統計に見られましたが、これは迷信が社会に影響した面が大きいと考えられています。科学的根拠があるわけではありません。

一方で、少子高齢化が進む日本の現実は、迷信ではなく深刻な人口動態の問題です。衆議院議員総選挙が2026年2月8日投開票に行われました。 この選挙では、外国人政策や安全保障がしばしば論点のひとつにはなりましたが、少子化対策については、主要な争点として十分に論じられているとは言い難い状況でした。結婚や出産といった家族形成の問題は重要ですが、価値観が多様化する社会において、それらのテーマは扱いにくさから、政治や社会の正面の議論の場では後回しにされているのかもしれません。

衆議院選挙について、高市自民党政権の圧勝でした。私自身は先週木曜日に期日前投票を済ませました。自宅から会場が近いこともあり、最近は期日前投票を利用することが多くなっています。今回も同じ会場で投票しましたが、先週土曜日、その会場前の道路に、これまで見たことのない投票待ちの列ができているのを目にしました。

少なくとも過去の選挙と比べて、有権者の関心が高まっていることは確かだと感じました。それにもかかわらず、マスメディアときたら、午後4時現在の投票率は前回より○○%下回っている、との報道。おかしいな、と思ってよくみると、期日前投票の数値を入れていないのです。今や、期日前投票が当たり前。選挙制度に報道の設計が追随できていないのか、メディアの意図的なものなのでしょうか。

すつての立憲民主党議員は軒並み落選、比例区は、かつての公明党議員ばかり。公明党は陰の勝者でした。いろいろな敗因はあるでしょうが、「勝には不思議な勝ちあり、負けには不思議な負けあり」、立憲民主党の親中路線、高市政権批判、自らの政策が不透明、これでは支持は得られなかったのかもしません。

以前、私は、中道が結成された時、1+1-?=?、?が知りたいと謎のツイートをしたのですが、?は1.5と言う印象でしたね。

私の暖房は、やはり電気こたつ

今年の冬は、どうも例年ほど寒くありません。そのせいか、我が家の灯油の減りがやけに遅い。もっとも理由は、気温だけではなさそうです。

25年前には18リットル600円だった灯油は、いまや2,000円を超え、ガソリンと大差がない。燃費の優等生だったはずの灯油も、すっかり「高級燃料」になりました。こうした事情もあってか、灯油ストーブの売れ行きは伸び悩み気味だそうです。

さらに言えば、今のエアコン暖房は、性能そのものが別物になりました。昔のように「暖まらない」「電気代が高い」という存在ではなく、長時間使うほど計算が合う暖房になっています。

そうなると、灯油を買いに行き、運び、入れる。その手間をかけてまで使う灯油ストーブを使う理由が、正直、見当たらないのです。

使う人が減れば、補助金の対象にもならない。政策というより、生活の選択の結果でしょう。灯油ストーブが姿を消すのは、技術革新でも規制でもなく、「面倒だな」という一言から始まっている気がします。

もっとも私は、今も昔も、燃費コストが最も優秀な電気こたつに潜って過ごしています。

最近、物価が上がっていることを実感する場面が増えました。私は普段からスーパーで買い物をしますが、そこでまず目につくのが米の価格ですが、これはいまさら申すまでもないです。ただ、それだけではありません。卵が高くなりましたし、チョコレートも以前と比べて値上がりしているのが分かります。

卵の値上がりについて原因を調べてみると、一つは鳥インフルエンザです。もう一つは飼料価格の上昇です。鶏のエサとなるトウモロコシや大豆は輸入に頼っていますが、ロシアとウクライナの戦争によって穀物の国際価格が上がりました。さらに円安が続いているため、日本では輸入コストがより高くなり、その影響が卵の価格に反映されています。

チョコレートも同じような構図です。原料のカカオ豆はほぼ輸入で、近年は産地での不作や病害の影響を受け、国際価格そのものが上昇しています。そこに円安が重なり、仕入れ価格が円ベースで膨らんだ結果、店頭価格も上がっています。

米、卵、チョコレートはいずれも身近な食品ですが、その値段は日本国内の事情だけで決まっているわけではありません。戦争や天候、為替といった世界の動きが、そのまま私たちの買い物に影響しています。世界が互いにつながっていることをあらためて実感します。

新年あけましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。今年もニュースレターをお届けします。
私の仕事始めは1月5日(月)からですが、年明け早々、トランプ政権によるベネズエラ軍事行動の動きなどもあり、今年も波乱含みの一年になりそうです。

さて、台湾をめぐる情勢です。今年は、いわゆる「2027年危機」の前年にあたります。産経新聞の1面「年のはじめに」では、「『台湾有事の前年』に日本は手をこまねいていたと後世に言われてはなるまい。まさか戦争はないだろうと油断し、ほぞをかんでも遅すぎる」との論調が掲げられていました。

一方で、中国専門家の中には、台湾有事が起こる蓋然性は必ずしも高くない、あるいは台湾有事論そのものが米国の軍事費獲得や対応策を正当化・可視化するための枠組みだ、という見方もあります。私自身も、その指摘を全面的に否定する立場ではありません。

しかし、同紙でも引用されているように、米国国防省が昨年公表した中国の軍事力に関する年次報告書では、「中国は2027年末までに台湾における戦争に勝利できると見込んでいる」と分析しています。インテリジェンスの基本は、公式発表をまず額面どおりに受け取り、その上で検証し、必要な備えを進めることにあります。楽観と悲観のどちらかに傾くのではなく、示された前提条件にどう向き合うかが問われているのだと思います。

箱根駅伝は今年も青山学院の圧勝

今年の正月も、例年どおり全日本実業団駅伝と箱根駅伝を見て過ごしました。元日は新聞を買いに近所のコンビニに行き、あとは3日まで駅伝観戦。ある意味、変わらない正月です。

箱根駅伝は、青山学院の3連覇。まさに令和の常勝軍団という言葉がふさわしい結果でした。最大の見どころは、箱根山登り5区での黒田朝日選手の激走でしたが、それ以上に印象的だったのは、6区以降の復路で全員が区間3位以内に収まるという層の厚さでした。

これは、原監督によるリクルートや育成といった中長期の戦略と、当日の適材適所の配置という戦術が噛み合った結果だと言えるでしょう。同時に、選手たちが恵まれた環境の中で、学生寮での共同生活を送り、黒田選手のキャプテンシーが発揮されることで、チーム全体の底上げが進んだことも大きいと思います。それを支える学校関係者、勝利がもたらす潤沢な資源とスタッフ、企業の協力。こうした好循環が、青山学院の強さを支えているのでしょう。

もっとも、どれほど隙のないように見える組織であっても、好循環が永遠に続くわけではありません。人生もまた同じで、順調に回っているように見えても、どこかに気づかない歯車の狂いが潜んでいます。今年も、その小さなリスクが顕在化し、拡大しないよう、意識して過ごしていきたいと思います。

今年、1年よろしくお願いします。