ある女性記者をめぐるネット騒乱

先日、ネットを見ていたら、あっと驚く記事に接しました。以下、引用します。

東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者を助けたい。中2の女子生徒がたった1人で署名活動に取り組んだ理由とは
女子生徒は、かつての自分と望月記者を重ね合わせていた

官房長官会見での質問をめぐって首相官邸側から問題視されている東京新聞の望月衣塑子記者を支援しようと、1人の女子中学生が立ち上がった。

望月記者の質問を制限しないよう官邸側に求めるインターネットの署名運動を2月に開始。活動を終えた2月28日までに、1万7000人を超える賛同者を集めた。 なぜ中学生は活動することを決意したのか。本人に聞いた。

(以下、中略)

東京都に住む中学2年の女子生徒(14)は、こうしたことをテレビのニュース番組で知ったり、官房長官会見の様子をインターネットの動画で見たりした。「これでは単なるいじめと変わらない。もう見ていられない」。女子生徒はそう思い、ネットで知ったChange.orgを使って賛同者を集めることにした。

望月記者の問題が「他人事」に思えなかったことには訳がある。自身も小学生のころ、いじめられた経験があるからだ。「私は口数の少ないタイプで、小学生のころ、人から物事を強引に進められても断れなかったことがありました。あと言葉による暴力を受けたこともあります」

かつての自分と望月記者が重なり、いてもたってもいられなくなった。Change.orgはネットで探し当て、母親の助けを借りて署名を募った。

「娘と一緒に会見の動画やニュースを見ていたんですが、望月記者に対する『妨害』がだんだんひどくなり、娘も署名を集めたくなったようです」。母親はそう打ち明ける。

ただ、誹謗中傷や嫌がらせを恐れ、「山本あすか」と仮名を使った。「安倍政権のサポーターからの攻撃は正直、怖いです」

署名集めの最中、望月記者からTwitterのダイレクトメッセージを受け取った。「ありがとう。中学生が頑張るのは心苦しい。大人が頑張るから大丈夫だよ」。中学生の自分を心配してくれていることはありがたかったが、納得できなかった。

「私はずっといじめをなくしたいと思っています。国の上のほうのことだけど、こんなこと許したら普通の人ももっと自由に発言できなくなると思って。中学生でも無関心ではいられませんでした」

当初の予定より延長し、2月いっぱいまで署名を集め続けた。(引用終わり)

この記事はハフポスト日本版ニュースエディターの関根和弘氏の記事です。関根記者は、 朝日新聞大阪社会部やモスクワ支局、北海道報道センターなどをへて2017年4月よりここに出向中のようです。

どうして筆者がこの記事に注目したかといえば、なんとなく出来すぎたストーリーを感じたからです。それに、問題のユーチューブを見ましたが、望月記者がいじめを受けたように感じる感覚についていけなかったからです(まあ、私には女子中学生の感受性は理解できないのかもしれません)。

将棋界や囲碁界においても中学生や小学生が大人以上の活躍しています。
藤井聡太7段や仲邑菫(なかむらすみれ)さんの活躍には感嘆すべきものがあります。

2014年にノーベル平和賞を受賞した 、パキスタン出身の女性であるマララ・ユスフザイ氏は 2009年、11歳の時に武装勢力パキスタン・タリバーン(TTP)の支配下にあったスワート渓谷で恐怖におびえながら生きる人々の惨状をBBC放送の依頼でBBCのウルドゥー語のブログにペンネームで投稿しました。

彼女は、タリバーンによる女子校の破壊活動を批判、女性への教育の必要性や平和を訴える活動を続け、英国メディアから注目されました

だから、中学生が政治に関心がない、政治的な判断ができないなどと決めつけ、政治的発言をするなというわけではありません。しかし、発言をする以上は、反対意見もあるということを認識しなければなりません。中学生だから自由に意見を言っても、反対はされたくないというのでは虫が良すぎます。

中学生が書いたとされる、この記事には賛辞を送るコメントが多数散見されています。一方では「文面が子供らしくない。かつての自分と望月記者が重なり、・・・など大人目線である」 などから「ヤラセ」「なりすまし」ではないかとの批判もありました。

女子中学生が表に出てきて自分の言葉で語っているのであれば説得力はあるのですが、ネット上の記事ではどうしても人物像が見えてこないので、“架空人物”かもしれないと、ついつい思ってしまいます。

2、3日たって再びこの記事を検索してみると、 元記者であった中年女性が中学生になりすましてChange.org の記事を作成したことを裏付けるような証拠も出てきたようです。だとすれば、 ハフポスト記者がこの中学生に取材して事実確認したのかも疑わしくなります。今後、新たな展開はあるかもしれませんが、結局は女子中学生が表に出ることは困難であり、真実は明らかにはならないでしょう。

この女子中学生の母親は、ネット記事は子供の自由意志であり、それを手伝っただけだと言っているようです。しかし、反政府デモに参加したり、新聞投稿などで政治的発言をする小・中学生が現れると「本当に、どこまでが自分の意思なのかな?」と疑っています。

かつて中国の文化大革命においては、毛沢東主席の洗脳を受けた子供達が紅衛兵として政治活動をしました。彼らは政府要人のみならず、自分の両親までも攻撃対象としました。彼らはのちに自由意思ではなく、一種のマヒ状態に置かれたことに気付きました。環境に染まり易く、周囲に影響されやすいのが、この年頃の子供たちではないでしょうか?

この事件はさておき、子供、女性、障碍者などの“社会的弱者”になりすまして世論を操作することは倫理的によろしくありません。しかし、 現実の問題として、“お涙頂戴”的な視聴率狙いのマスメディアによるヤラセ記事・報道などは頻繁に行われています。

また、世界各国は情報戦、宣伝戦の名の下に、さまざま偽情報を流布して、自らの戦略的優位性を得ようとしていることも事実です。

かつて戦時中においては、熾烈な宣伝戦が繰り広げられました。 かつての日本軍の「軍事極秘」教範である『諜報宣伝勤務指針』のなかに次の条文があります。

「婦女子及び児童に対する宣伝の咸響はその鋭敏の度通常大なるものなり。しかして、これらに対する宣伝は主としてその感情を利用すべきものなることに留意すべし。なお宣伝中に婦女子及び児童に関する事実を包含せしむるときは、一般に対する感動を強調するものなるをもって、これが適用また軽視すべからず」

この条文をかつての日本軍の悪行として忌避することもできますが、日本もまた、このような宣伝戦を欧米、ソ連、中国から受けていたのです。この点を認識することが重要です。

このような宣伝戦は国際政治のなかで今も健在です。 中国や韓国は南京事件、3.11事件といった歴史戦、宣伝戦を展開しています。徴用工問題、慰安婦問題は弱者の立場を巧みに利用した宣伝戦と捉えることができるでしょう。

我々は、こうした真実を歪める行為が行われているということを自覚して、メディア社会のなかでも正しい判断できる「インテリジェンス・リテラシー」を養う必要があります。

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